形状や質感、すべてが
使っていて気持ちいい！

岐阜に工房をかまえる木工作家、酒井桂一さんの作る調理べらをもう何年も愛用しています。調理べらはいくつも持っているけれど、気づけば日々の料理にいつも選んでいたような気がします。今回、使い慣れたサイズの調理べら（大）の発売と一緒に、より小さいサイズの調理べらを白ごはん.comオリジナルの形で作っていただけることになりました。

調理べら（小）のサイズは、長さが約23㎝、へら先端の最大幅が約3.7㎝です。

また、調理べら（大）の先の部分には若干のくぼみをつけているのに対して（汁気などをすくうため）、この調理べら（小）の先端は逆に丸みがあり、ゆるやかな凸型になっています。

調理べら（小）は、『炒める』だけにとどまらず、和え物やサラダを『混ぜてサーブしたり』『みそこしに使ったり』しやすい大きさので、先端のへら部分に具材が少しでもくっつきにくいことを優先したほうが利用シーンも増えると考えたからです。

そして、持ち手部分は程よく丸みをおびていて、握りやすく、手によくなじむ形状です。

調理べら（小）は国産の桜材を使用しています。桜材の特徴は、密度が高く硬さがあり、なめらかで毛羽立ちにくいというもの。

つまり、そもそもが調理道具向きだと言えますが、それでもさらに丈夫な調理べらにしたかったので、先端部分には適度に厚みがあります。

調理中、フライパンなどにへらをトントンと当てて、へらにくっついた食材を落とすことがあると思いますが、そのくらいのことでは欠けたり毛羽立ったりしにくいです（もちろんフライパンも傷まない！）。

「いつも」使う道具だから、自分のしたい動作がやりやすく、そしてしっかり受け止めてくれるものを選びたいです。なにより、気持ちよく日々料理と向きあうために。

混ぜる、つぶす、サーブする…
炒める以外にも、いろいろ使える！

一般的な調理べらよりもひと回り小さく、丈夫な木のスプーンと調理へらの中間のような存在だと僕は感じていて、その活用方法はさまざまです。

例えば炒め物。強い火力で一気に炒める時はやはり長い持ち手の調理べらが欠かせませんが、小さいフライパンでちょっとしたおかずを炒める、卵1～２個分のスクランブルエッグを作る、といった場合にはこの小ぶりの調理べらのほうが圧倒的に使いやすいです。

それから、みそを容器から取り出し、みそこし器の中でぐるぐると溶き混ぜるのにも便利。小ぶりなへらでの作業は箸よりも効率的で、へらの先端が凸型なのでみそもくっつきづらいです。

また、卵サラダや、粗めのポテサラを作るときに、僕は大きめのスプーンを使って、切ったりつぶしたりすることがありますが、へら部分が適度な厚さなのでそういった場合にも使えます。

「ゆでたじゃが芋や卵をつぶす」ところから調理べらの出番がはじまり、「調味料やサラダの具材を混ぜる」「食卓でサーブする」…最初から最後までこの調理べらで事足りるんです。

小ぶりで繊細な作りだからできる、効率的な使い道はまだまだあると思いますので、「箸？スプーン？ゴムベラ？」と迷ったときに、ぜひ使ってみてもらえたらと思います。

酒井さんの工房では、
かんなも何もかもが手作り…

調理べらは木工作家の酒井桂一さんが一点ずつ手作りされているのですが、工房に伺うとたくさんの驚きがありました。

上の写真（真ん中）のように、小さい鉛筆削りくらいのサイズのかんなをたくさん自作されていて、へらのなめらかなカーブを作るのにそれぞれ適したかんなを使い分けているそうです。

下の写真は同じ桜材を使った調理べら（大）の経時変化です。左が新しい調理べら（大）で、右が僕が長年家で使っている調理べら。酒井さんに伺ったところ、以前の調理べらはすくう部分を鑿で削っていたが、制作するための道具（かんななど）を自作するなどして少しずつ増やしていくことで、かんなでよりなめらかに仕上げることができるようになった（左側）とのことでした。

2つのへらを比べると少し色が違います。何年か使い続けることで、右側のように色合いにも少し深みが出て濃くなってくるので、ぜひ“自分の道具”という愛着も深めていってもらえたらと思います。

最後に、購入いただく際にご注意いただきたいのが、木の色合い、木目の表情等にどうしても若干の違いが出る商品なので、サイトに掲載しているものと同じものをお届けできるわけではないことをご了承ください。そういった違いも、道具の味わいや魅力のひとつとして楽しんでいただけたらと思います。