昔から変わらない和食のだし取りは、昆布とかつお節の組み合わせだったり、料理によっては煮干しや干し椎茸を使ったりと、だし汁そのものが、素材の味をシンプルに引き出すものです。そんなだし汁は、香りがゆたかで、やさしい旨みが口に広がります。
このだしブレンドは、同じようにまじめな素材だけを使い、そのだし汁を飲んだだけでほっとできるような、やさしさと美味しさを両立したいと思い作りました。余計なものは入れず、シンプルにかつお節、昆布、あご、干し椎茸と4つの天然素材だけを混ぜ合わせています。
いま市販されているだしパックには、「調味料(アミノ酸等)」と表記されることの多い化学調味料はもちろん、無添加とうたっているものでも、「たんぱく加水分解物」や「酵母エキスパウダー」などが配合されていることが多いです。
僕自身、食品メーカーの研究開発職で味づくりの仕事をしていた時期もあるからわかるのですが、昆布やかつお節などの原料よりも安い値段で味を濃くできるから、そういったものを入れる傾向にあります。ただ、それらが何から作られているか、原料を見ることはなかなかできません。数年前、サラリーマンの頃に中国への出張でたんぱく加水分解物を作っている工場を見学したことがあるのですが、工程は説明してもらえても、原料を見せてもらうことはできませんでした。
そんな経験もあって、そういったものを使っただしパックは数多く商品としてあるからこそ、目で見てわかるくらいの安心できる素材だけを組み合わせた、本物の香りとうま味が感じられるだし取りのできる選択肢を作りたいと思って、この商品を考えました。
とはいえ、天然素材だけを使ったけれど、そのだし汁で作った料理が美味しくなかったり、味を薄く感じてしまっては、せっかくの素材を活かせないことになります。
そこで、かつお節に関しては料理屋さんなどでも行っている、だし汁の風味を悪くしやすい“かつお節の血合い”という部分を削り落としたものを使用しています(下の写真のように薄削りにした後に、細かく粉砕しています)。また、昆布はうま味が他の昆布に比べて格段に強い“羅臼昆布の天然物”だけを使うことにしました。
また、昆布とかつお節だけでは、少し上品すぎるだし汁になってしまうため、家庭でみそ汁や煮物にしても美味しい仕上がりとなるよう、隠し味としてあごと干し椎茸もブレンドしています。4つの素材をバランスよくブレンドすることで、コクもありつつ、やさしい旨みが口に広がる家庭的なだし汁になったと感じています。
だしブレンドに使用しているかつお節、昆布、干し椎茸に関しては国産品です。
あご(とびうおの煮干し)に関しては、現在ほとんど国産品が市場に出回っていないため、主にインドネシア沖で取れたものを国内工場で加工したものを使用しています。